アニメは、アニメーションの略語である。アニメーションを用いて構成された映像作品全般を指す。
本項では、特に日本で製作された商業用セルアニメーションについて解説する。
概要
各種メディアで提供されるサブカルチャーの1つ。「文化芸術振興基本法」ではメディア芸術、関連法律の「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」ではコンテンツの1つに定義されている。
1話30分のテレビ視聴用の連続作品が主流で、劇場鑑賞用の長編作品の比率は低い。題材は幅広く、多種多様なものが使用されている。
流通形態は以下の通り。
テレビアニメ
地上波テレビ局、BS局、CS局等での放映用に制作される作品。全日枠放送作品、深夜アニメ、UHFアニメ、BSアニメ、CSアニメなどに分類される。
アニメーション映画
映画館等での上映用に制作される作品。劇場用アニメーション映画、アニメ映画、劇場版アニメ等と呼ばれる。
OVA(オリジナルビデオアニメーション)
店舗販売とレンタルビデオ用に制作される作品。VHS、LD、DVD等で提供される。
Webアニメ
インターネット配信用に制作される作品。国外では「Original Net Animation」(ONA)と呼ばれる。
作品に関しては
「アニメ作品一覧」を参照
語の成立と普及
1963年:テレビマンガ・漫画映画
最初の商業用テレビアニメ番組の『鉄腕アトム』で使用される。当時、アニメーションは映像業界の専門用語で、アニメーション映画は「漫画映画」と呼ばれている。
1965年:専門用語のアニメ
雑誌「小型映画」、映像制作者向けの専門雑誌。1965年6月号までは主にアニメーションという語を使用しており、アニメという語を使用する場合はアニメーションという語とセットで用いられていた。7月号でアニメという語がアニメーションの略であるという断りなしで初めて使用された。この頃から映像業界内でアニメが一般的になり始めたとみられる。
1968年:アニメート
絵本シリーズ『名作アニメート絵話』、偕成社。アニメーションを略したものではなく、animationの動詞形のanimateを日本語読みにしたもの。一般向けにアニメを含む語をタイトルに用いた最初期の例である。
1969年:アニメラマ
映画『千夜一夜物語』(1973年まで3作品が公開)で使用された、アニメーションとドラマの造語。
1975年:一般的なアニメ及びアニメーション
絵本シリーズ『テレビ名作アニメ劇場』、ポプラ社。タイトル名にアニメを使用した最初の書籍とみられる。
同年には日本アニメーションが設立され、同社制作の番組内では、毎週、社名の一部としてアニメーションという語が表示されるようになった。
1978年:アニメの普及
「アニメージュ」が創刊され、その後数年で誌名にアニメを含む雑誌が相次いで創刊され、急速に普及。1980年頃を境にして、テレビまんが等の表記は衰退した。
世界的普及
anime
英語のanimationにはの文字が無いためanimeと略すことはできない。(活用形はanimate、animative)。アニメーションをアニメに省略できる言語は日本語に限られる。「エイニム」または「アニーム」が自然な発音であり、「アニメ」と発音するため、日本国外では日本由来の外来語だと考えられており、日本製または日本的な表現様式を持つアニメーションをanimeと呼ぶことが多い。animation(英)→アニメーション(日)→アニメ(日)→anime(英)と変化した珍しい例である。北米では、animeはmanga(マンガ)と同種の日本語という感覚で用いられている。
animeのフランス語由来説も存在する。animer(動く)の過去分詞形 (アニメ、動いた、動かれた)があり、英語でもと綴られることから、フランス語由来だとも考えられたが、現在では日本製アニメを示す名詞として解説される場合がほとんどである。
アメリカ合衆国での語の普及
1972年、ビデオデッキが発売されると、1976年2月にはファンサブ活動が始まり、1977年には専門のサークルが活動を開始した。既に日本製ロボットアニメーションを指す語としてanimeという語が用いられていたが、愛好家たちの隠語か専門用語のようなもので、一般には広まらなかった。1991年、The Society for the Promotion of Japanese Animation (略称SPJA)が発足し、翌1992年から毎年「Anime Expo」を開催されると、OTAKU(おたく)が増加するなど、animeは急速に普及していった。
フランスでの語の普及
日本製アニメーションはfr:anime(アニメ)と呼ばれる。英語から輸出される形で移入される。アニメーション(動画)はfr:dessin (デサンナニメ、動く画) と呼ばれる。
Japanimation(ジャパニメーション)
主に1970-1990年代に北米で使用された。音節的に japan-animation から Japanimation に略されただけの日本製アニメーションという意味の語である。Jap(日本人の蔑称)のanimationとも読めるため、日本人や文化に対する差別と偏見やアニメーション自体への偏見から、日本製アニメーションを指して「くだらないもの」あるいは「子供の教育上良くないもの」の意味を含めてこの語が使用されていたとする説もある。文化・習慣・表現規制の問題から、日本的・性的・暴力的なシーンをカット。長期に渡り連続する物語を1話完結に編集するなど、制作者の意向とは掛け離れた、独自の改変が行なわれていた。またハーモニーゴールド社は、最低65話が必要な放送枠の関係で、独立した3作品を1つの作品として編集した『ロボテック』という長編シリーズに仕立てあげている。この作品は、日本で放送された内容に近い形で放送され、多くの視聴者を獲得した。その後、他国に再輸出されており、好評を博したとされる。このヒットは、元になった日本製アニメーションを評価するきっかけともなった。なお、この頃の独自編集が施された作品のみを、ジャパニメーションと分類する場合もある。2000年代以降は、Japanimationが使用されることは少なくなっているが、使用例もある。
日本では、講談社が『AKIRA』『攻殻機動隊』が国外で人気作品であるという意味合いで「ジャパニメーション」を戦略的に使用している。また、日本のマスコミ等では、「日本国外で視聴されている日本のアニメーション」という意味で、日本文化を誇る場合に使用していることもある。
制作工程
作品の制作過程は、大きく分けると3つの工程に別れている。
プリプロダクション
企画書をもとに、スタッフ編成と制作のフローを確定し、脚本・設定・絵コンテなど制作に必要な各種設定など行なう作業。
プロダクション
原画、動画、仕上げ等のアニメーションの作成作業。
ポストプロダクション
アフレコ・BGM・効果音を加える音作業やVTR編集などの作業。
さらに詳細な工程を経て制作される。制作会社、作品に投入される各部門のスタッフ数、技術の進歩などにより役職名や工程の違いもあるが、企画から完成までの基本的な工程は以下の通りである。
企画
作品の全体像、企画意図、セールスポイント等が記述された企画書、パイロット版等をテレビ局や映画配給会社、制作費を受け持つスポンサーとなる会社に提出する。配信する側が採否を決定する。
スタッフ編成とワークフローの確定
監督・シリーズ構成・脚本家・声優・アニメーター・作画監督・美術監督・色彩設定・撮影監督・音楽・音響監督・プロデューサー・キャラクターデザイン・メカデザインなど主要なスタッフを選定する。
脚本(シナリオ・本読み)
ストーリーの制作作業で、柱、台詞、ト書きで構成される。
シリーズ構成は、脚本の監督的な仕事を担い、作品全体の構成を考えて、複数の脚本家にエピソードを配分していく。脚本が作品のイメージの逸脱、矛盾の発生などの問題をチェックする。
設定
脚本・原作・企画書を元にして、作品の主要な登場人物キャラクターデザインや舞台背景を設定する美術設定(美術監督)・メカデザイン(メカニカル設定)とクレジットされることが多い。
絵コンテ
監督、演出(プロデューサー)が脚本を絵として組み立てる作業。作品の内容の流れがコマ割りの絵で描かれる。これを元に原画作業が行われる。コマ割りの状況説明・カメラワーク・効果音等、セリフ、撮影のカットの秒数が指示される。
原画(原図・作画・レイアウトシステム)
原画マン(原画家、原画担当者、レイアウトマン)と呼ばれる職制が担当する。絵コンテを元に完成画面を想定し背景の構図とキャラクターのレイアウト(画面構成)を作成する。
演出(プロデューサー)は、レイアウトが絵コンテの内容、演出意図との差異を確認、修正指示を入れ作画監督に渡す。
作画監督は動きやキャラクターデザインを修正し、画面の統一を図る。作監修正と呼ばれる作業。
動画
動画マンと呼ばれる職制が担当する。ラフに描かれた原画の清書作業を行ない、原画の間の絵を描きおこし全ての動きを完成させる作業。中割りとも呼ばれる。
動画検査と呼ばれる職制が動画をチェックし、修正を指示する。
原画と動画についてはアニメーターも参照。
仕上げ(色トレス、彩色)
色彩設定(色彩設計)の指示・動画に指定されている色指定の通りに着色する作業。
セル画も参照。
背景
美術監督は、背景設定となる美術ボードを制作する。原画で指定された背景設定に合わせて、背景スタッフが背景を作成する作業。
撮影
撮影監督が作業を監督し、仕上げと背景を組み合わせ撮影し、透過光、マルチプレーン・カメラ、多重露光等のエフェクト処理を加える。
楽曲作成
様々な場面に合わせた楽曲BGMを作成する作業。
音作業:音響監督は、声優のキャスティングと演技指導、ダビングなどの音響演出を担当する。監督や演出(プロデューサー)等が参加する場合が多い。
アフレコ
撮影された映像に声優がアフレコ台本をもとに声を収録する作業。アフレコ演出と呼ばれる職制が演技指導を行なう場合もある。
ダビング
アフレコにBGMや演出に合わせた効果音を加える作業。
VTR編集
オープニング、エンディング、CM前後のアイキャッチを組み合わせてテレビで流す形式にする作業。
製作会社
当初は、製作会社が制作工程の全てを担ったがその後、分業化が進み、プリプロダクションの企画・製作会社と、プロダクションの作画・動画スタジオ、美術スタジオ等と、ポストプロダクションの撮影会社、音源制作など制作工程別に作業を請け負う専門スタジオと分業化されている。
また、グロス請けと呼ばれる、1話単位で制作作業を一括受注し制作業務全般を行う制作会社もある。
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